歯ぎしり・食いしばりは早めの対策を
歯ぎしり・食いしばりはブラキシズムと呼ばれるお口の悪習慣の一つです。
就寝中など無意識下で行われることが多いためご自身での自覚はなく、ご家族や歯科医師からの指摘で初めて気が付くという方も少なくありません。
歯ぎしり・食いしばりの原因は心的ストレスが大きく関係すると言われることが多く、根本的改善はなかなか難しいとされています。
歯ぎしり・食いしばりは歯のすり減りや歯の破折、顎関節症、肩こり、頭痛などを引き起こす恐れがあります。歯ぎしり・食いしばりの症状やご家族からの指摘があった場合には、早めにご相談ください。
こんなお悩みありませんか?
- 就寝中の歯ぎしりの音を指摘された
- 朝起きると顎関節や歯茎が痛む
- 歯がすり減っている
- 歯や詰め物・被せ物にヒビが入っている
- 原因不明の慢性的な肩こりや頭痛がある
- 以前よりもエラが張ってきた
- 集中すると歯を食いしばる癖がある
歯ぎしり・食いしばりについて
歯ぎしり・食いしばりは主に睡眠中に起こる現象です。
健康な方でも一晩に10分ほどは歯ぎしりをしていると言われていますが、毎晩のように1時間以上歯ぎしり・食いしばりをするようになってしまうと歯や顎関節、全身にさまざまな悪影響を及ぼしてしまいます。
また、通常噛む力は自分の体重程度ですが、無意識下に行われる歯ぎしり・食いしばりの際にかかる力は数倍〜10倍の力と考えられています。
歯ぎしり・食いしばりの正確な原因やメカニズムはまだ解明されていませんが、ストレスの他に睡眠時無呼吸症候群とも相互に関連性があることが分かってきました。
歯ぎしり・食いしばりは睡眠の質を下げるだけでなく、お口の健康や全身の健康にも大きな影響を及ぼすため、早めにご相談にいらしてください。
原因
ストレス
歯ぎしり・食いしばりの主な原因はストレスといわれています。
ストレス解消のために歯ぎしり・食いしばりを行っている可能性も指摘されています。そのため、ストレスの原因となっている事柄を解決し、リラックスすることが症状の改善につながるとされています。
ただし、歯や詰め物・被せ物のすり減りやヒビ、顎関節症などが生じている場合には早急に処置や対策を行う必要があります。
歯並びやかみ合わせの乱れ
歯並びやかみ合わせが乱れていることが原因で歯ぎしり・食いしばりが起こることもあります。
左右でバランス良く噛むことができず片方に過度な力がかかっている場合や、詰め物・被せ物の適合が悪く高さが合っていない場合などには早めに治療をする必要があります。
枕の高さが合っていない
枕の高さや寝具のかたさが合っていないことが、歯ぎしり・食いしばりの原因になる場合があります。
気道が正しく確保できていないと、呼吸が浅くなり、深い睡眠を妨げます。
寝具を見直すことで症状を改善できる可能性もあります。
集中している時間や緊張している時間が長い
睡眠中だけでなく、日中にも歯ぎしり・食いしばりの症状が出ることがあります。
通常は上下の歯の間はわずかに隙間があき、かみ合うことはありませんが、力を入れる時や、集中している時、緊張している時などには歯を食いしばる傾向があります。
無意識に行われるため歯や顎関節に大きなダメージを与えるおそれがあります。
種類
① グラインディング:歯のこすり合わせ
上下の歯を強く噛みしめた状態で左右にギリギリとこすり合わせる動きのことをグラインディングといいます。歯をこすり合わせるため、歯の摩耗が強く、歯茎や歯槽骨、顎関節にも大きなダメージを与えてしまいます。
グラインディングをしている最中はぎりぎりと音を立てることが多いため、ご家族やパートナーの指摘で早めに気付きやすいです。
② クレンチング:歯の噛みしめ・食いしばり
上下の歯を強く噛めること・食いしばることをクレンチングといいます。グラインディングのように音が出ることがなく、無意識下で行われるので、ご本人も家族の方も気付きにくいです。
クレンチングでかかる噛む力は非常に強いため、歯や歯茎、顎関節に大きなダメージがかかり、エラが張る(咬筋が肥大化する)など見た目にも影響が出やすいです。
また、クレンチングをしている方は詰め物や被せ物が割れやすいです。
③ タッピング:歯をカチカチ鳴らす
上下の歯をカチカチと細かく連続的にかみ合わせる動きをすることをタッピングといいます。
グラインディングやクレンチングよりは歯や顎関節への負担が少ないですが、睡眠時だけでなく日中にもタッピングの癖が出てしまう方がいます。
カチカチと音が鳴るのでご本人も家族の方も早めに気付きやすいです。
歯ぎしり・食いしばりの治療法
マウスピース
歯ぎしり・食いしばりが行われやすい睡眠時にマウスピースを使用していただくことで、症状を緩和します。
まず歯科医院で一人ひとりのお口や歯並びに合ったマウスピースを作製し、ご自宅にて睡眠時に装着していただきます。
通常は上顎のみにマウスピースを装着しますが、顎の位置やかみ合わせを正しい位置に誘導するための上下顎用のマウスピースも作製可能です。マウスピースを使用することで、歯ぎしり・食いしばりの力を弱め、歯や歯茎・顎関節などにかかるダメージを軽減し保護します。また、歯ぎしり・食いしばりの自覚がない方はマウスピースのすり減りの度合いを見て確認します。
市販でも歯ぎしり予防のマウスピースは売られていますが、ご自身の歯並びやかみ合わせに合っていないマウスピースを使用してしまうと、顎関節をさらに痛めてしまったり、かみ合わせにずれが生じたりするおそれがありますので、歯科医院できちんと作製することをおすすめします。
スポーツマウスピース
スポーツマウスピースは、ボクシングなどの格闘技やアメリカンフットボール・ラグビーなどの激しい衝突・衝撃のあるコンタクトスポーツの際に、歯の破折や顎の怪我、脳しんとう、口腔粘膜の怪我などを防ぐためやパフォーマンス向上のために使用されます。
スポーツマウスピースは近年さまざまな競技種目で、子どもも大人も使用される方が増加しています。
当院ではオーダーメイドで一人ひとりのお口のサイズや歯並び、競技種目に合ったスポーツマウスピースを精密に作製しています。スポーツマウスピースにご興味がありましたら、お気軽にご相談ください。
市販品と歯科医院で作製するマウスピースの違い
スポーツマウスピースには、インターネット通販やスポーツ用品店などで販売されている市販品と歯科医院で作製するオーダーメイドのものがあります。
歯科医院のスポーツマウスピースは一人ひとりのお口にフィットするようオーダーメイドで作製しますが、市販のスポーツマウスピースはお湯の熱で柔らかくして自分で歯の形に合わせるタイプのものがほとんどです。ぴったりフィットするように自分で調整するのはとても難しく、うまく噛みしめることができなかったり、外れやすかったり、顎を逆に痛めてしまったり、呼吸がしにくくなるなど、さまざまな問題が生じる可能性があります。
スポーツ中の怪我を防ぎ、運動パフォーマンスの向上や集中力の向上などの効果をしっかり得るためには、歯科医院でオーダーメイドの精密なスポーツマウスピースを作製することが大切です。